"■宮城県気仙沼市 避難所(活動内容:Happy Doll Project)

 旧保育所を、避難所にしているこの施設。避難所で生活をすることが難しい体調の高齢者が10名ほど集まっている。

 バラバラにあったテーブルを一つにつなげて人形作りを開始した。

「私、作らない」と言っていたおばあちゃん。他の人が作った人形を見せてあげたり、布地を広げてみたりしているうちに、赤い布地でてるてる坊主を作ってくれた。それで終わりかと思いきや、リボンを首にまき、ボタンを目に見立ててボンドで接着。最後には「髪の毛」ということで黒いフェルトを東部に貼り付けていた。なんというクリエイティビティ!

 昔、マグロ漁をしていたという男性。一緒にマグロを作りましょう!という呼びかけに「う~ん」と唸っていたものの、その色は違う、とかその形は違うとかマグロ熱が飛び出してきた。

 彼らの多くは最初やる気がないと言っていた。それでも皆さん海と共に生きてこられたのだろう。魚やイカなどの海にまつわる人形を見せてあげると、やる気を出してくる人が多かった。例え津波で家を失っても、昔から海と共に生きてきた彼らの思いが垣間見えた気がした。

 それぞれが力作を作り終えた後、施設の職員さんも交えながら一つの大きな机を囲み、用意していったコーヒーを飲みながら談笑をした。さっきまで他人に目もくれなかったお婆さんが、皆にコーヒーが入っているか気配りをはじめた。そんな様子を見ながら施設の職員の方が私にこう言った。「作業後も、作ったものを話題にして会話ができるのがいいですね。本当に素晴らしい活動だと思います。頑張ってくださいね。」

 震災から3ヶ月、仕事もお金も物資も、時と共に必要なものは変化をしていた。そんな中で以前より強く身にしみて感じたのは、人と人との繋がりへの渇望であった。

 先日、電車の中で耳にした言葉。「自制ムードも和らいできたからさぁ、そろそろパーッとやろうぜ」

 彼等にとって「自制」とは「ムード」であったのであろうか。

 全てが混ざり合い、異臭を発し、どうしようもなく取り残されている家の骨組み。今この瞬間も同じ国内に存在している「あの風景」を見たこの感覚を「自制ムード」では片付けるのは私にはまだ難しい。

 被災地は今も被災地であり、日本は今も被災国である。そう心で感じた。

ARTS for HOPE
事務局スタッフ 加藤尚

ARTS for HOPE(アーツ・フォー・ホープ)
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[JMM]特別寄稿:”ARTS for HOPE” 活動レポート 第3回 東日本大震災関連特集/特設ページ